先日、5月21日に登山家の栗木史多さんが、エベレストの単独登頂を試みて、低体温症で亡くなりました。
彼にとっては8度目になるエベレストへの挑戦で、途中で体調不良に襲われ登頂を断念、その下山中に雪の中で倒れているところを発見されました。
今まで何度となくTVなどで彼の登山の姿を映像で観て、その独特のスタイルに興味を持っていました。
いわゆる「冒険の共有」と言う、自らがビデオカメラを回し、レポートをしながら山頂を目指し、その映像をテレビの前で観るものにも伝えると言うものでした。
その方法は、カメラを回した状態で地面に置き、自ら斜面を登る姿を映した後、一旦引き返してカメラを回収し、また同じ道を登るという、手間の掛かるものでした。
それ故、まるで彼の横で一緒に山を登っているかのような、非常にリアルで臨場感に溢れた映像が新鮮でした。
時には大きなクレパスをハシゴで渡るその足元を映したり、時には吹雪の中ビバーグするテントで孤独と恐怖に一人号泣する姿もそのままに映像で伝えていました。
なぜ人は山に登るのか、そこに山があるからと言ったのは、有名な登山家、ジョージ・マロリーが残した言葉です。
達成する事が容易ではないものに挑戦するとき、人は強い闘志と意欲にかりたたれ、それと同じくらいの不安や恐怖と闘います。しかし、それを克服したときに大きな喜びと達成感に包まれるのだと思います。
私は山には登りませんが、営業という仕事をやっている時にあたかも一つの山を克服した時のような達成感を感じる時があります。
営業の世界では決して命を落とす危険はありませんが、最初の面談から、徐々に相手の懐に入り、幾度となく断られても尚、諦めずに最後の合意に至るとき、遥かな頂を制覇した気持ちと重なるところがあるように感じます。
ゆえに、独特のスタイルで単独登頂に挑戦する栗木さんの存在が気になっていたのかも知れません。
前回の登頂では凍傷のため、両指9本を失い、それでも尚リハビリをして山を目指し、最後は8度目のエベレスト挑戦でその命を落としました。
自分よりも20歳以上も若い彼の壮絶な人生に心より敬意を送りたいと思います。
不動産企画部 山口