前回は、不動産投資における「デフォルト」を検証してみました。今回は、実際の運用編「不動産投資の実務」をご紹介してみたいと思います。
その前に、ヤマトブログの中でも独特の異彩を放つこの連載ですが、これって、ブログじゃないんじゃね・・・?的な雰囲気も無きにしも非ず。
担当者としましては、これ、実は「コラム」だったんですね。と勝手に解釈をし、執筆を続けております。
ここはひとつ、リベラルで平和的な見解で、この記事を読んで頂きたくお願い申し上げます。
■ 不動産投資は「撤退」も想定しておく。
株やFX、先物など、投資には不動産以外にも様々な商品がありますが、その中で、不動産投資が他の投資商品と大きく異なる点があります。それは、株などの金融商品が、「流動資産」なのに対し、不動産はその名の通り「不動資産」なところです。つまり、株やその他の「流動資産」は、局面によっては元金が「0」になる可能性がありますが、不動産の場合は地価の値下がり等により資産価値が目減りする事はあっても、その価格が「0」になる事はありません。これは不動産投資が土地、建物と言った現物を所有する「事業」だという点で、他の投資商品と大きく異なるところです。
それ故に、仮に投資した不動産が債務不履行により銀行に差し押さえられ、その後に競売にかけられたと言う最悪のシナリオであったとしても、少なくてもその物件の購入価格を上回る負債が残ることは、まずありません。また、一般には競売になる前に任売(自分の意志で市場に売り出すこと)も可能なので、そこで希望価格で売り抜けられれば、売却代金で負債を完済してしまう事も可能です。ただし、価格はあくまでマーケットが決める事であり、自身でコントロール出来るものでは無いことは十分理解しておく必要があります。
■ 売却益+収益のグロスがプラスならOK
所有している不動産を売却してしまうと、多少は周囲に対するバツの悪さを感じるかも知れませんが、それでも決してそれが「負け戦」だった訳ではありません。何故なら売却までの間、毎年8%前後の収益(入居率によりますが)は、確実にあった筈ですから。例え、売却益が購入価格よりも下回ってしまったとしても、それまでの間に得た収益を足して、購入価格を上回れば(トントンでも)、決して損をした事にはなりません。
とかく日本人は、土地や建物に強く固執する国民性と言われています。しかし、それは自宅など持ち家に限った方が良さそうです。特に不動産投資でデフォルトを起こしてしまった場合、ダラダラと私財で返済補填を繰り返し、出口の見えないトンネルに足を踏み入れてしまうより、ここはキッパリと割り切って、「撤退『売却』計画」を実行すべきです。最初からそういう思いで投資に取り組めば、決して「しくじり先生」にはなることはありません。これは、人によってはとんでもない手法と取られるかも知れませんが、ある意味不動産投資の真意を突いた運用方法の一つです。
では、ここからは、どうやったら投資した不動産を安定的に稼働させることが出来かを考えてみたいと思います。
その前に、これから投資するべき賃貸物件が、新築購入なのか、中古購入なのかを選択する必要があります。何故なら、新築と中古では、家賃、経費、運用利回り、償却期間など、その事業内容が大きく異なるからです。
新築が良いのか?それとも中古購入が良いのか?
さて、今回のお話はここまでとし、次回は、私が某不動産管理会社に席を置いていた時に、実際に経験をした新築、中古物件での管理トラブルと、物件購入時の注意点をお話ししたいと思います。
不動産企画部 山口