さて、前項までは、不動産投資に関する「リスク」と「運用」を中心にお話をさせて頂きました。今回は、不動産投資をする際に注意しなければならない点と、その投資物件は、新築が良いのかそれとも中古物件が良いのかを検討してみたいとおもいます。
それよりも、前回、8月末にブログを更新した時は、日経平均株価も1万9千円後半を付けていたのにも関わらず、今年に入り日経平均株価は年初来の下げを続け、今日現在、1万7千円を割り込んでいます。ああ、恐ろしや。ベッキーの不倫騒動やSMAPの解散騒ぎどころじゃありません。
今回の株安の原因は、中東諸国の緊張や原油価格の値下がり、中国株式市場の暴落などが重なり、一時的な事だと多くのアナリストが予測しています。が、でもねー、去年の年末に今年の株安を予測した記事など、私は一度も目にしませんでした。批評家は気楽な商売ですよね。どちらにせよ、日本の株式市場が、いかに中東のオイルマネーや大口の機関投資家によって支えらているのかという事を、嫌と言うほど痛感させられた一週間でした。
■ 利回りと言うトリック
不動産サイトを覗くと、新築から中古まで、様々な投資用賃貸物件が売りに出されています。
仮に、あなたが中古物件を購入すると想定します。その際、各不動産会社の物件ポップを見て最初に目に付くのが、年何%と言った投資利回りの表示です。高利回りの表示についつい目が行きがちですが、しかし、ここで注意しなければいけないのは、それが表面利回り(グロス)なのか、実質利回り(ネット)なのかという事です。
単純に得られる家賃収入から不動産の物件価格を割り出したものが、表面利回り(グロス)です。それに比べて、購入価格以外の経費や年間の税金、管理費などのランニングコストを差し引いて計算したものが、実質利回り(ネット)です。
さらに、部屋が満室であることを前提とした「想定利回り」と言うものもあります。例えば、年利回り15%以上の物件があったとしても、実際の入居率が50%以下の場合、ビギナーは手を出すべきではありません。購入後に恐ろしいほどの修繕費用が発生する可能性があります。
不動産投資では「儲け」と「損」が常にコインの裏表なのです。中古物件購入の際は、必ず実質利回りで、さらに現在の入居率で判断して下さい。
しかし、中には、売却時だけ自分の身内を無理矢理入居させ、さも満室を装って売り逃げる悪質な業者もいます。せっかく満室だと思って購入したのに、半年後にはほとんどの入居者が出てしまって空室だらけと、本当に笑えないような話も実際にあるのです。その際は、各入居者の賃貸借契約書の日付を確認してみて下さい。物件の売り出し時期と、入居時期がダブっている賃貸借契約書が複数ある場合は、疑ってみる必要があります。
■ 当り外れの多い中古物件。
これは、私が某不動産管理会社に在籍をしていた時に、実際に担当していたある物件の話です。
築25年の中古アパートを、年利回り18%以上のふれ込みで購入したAさん。「部屋が寒い」との苦情で入居者が退去した部屋の壁を剥がして見たら、なんと、断熱材が入っていませんでした。その後、他の部屋からピンホールの漏水が発生。その部屋の壁を剥がして給水管に部分補修を行ったのですが、その数か月後にはまた他の部屋から漏水。せっかく高い投資をして買ったのにも関わらず、入った家賃のほとんどが建物の修繕費に出て行ってしまいました。
もう、こうなってしまっては、答えの出ないポーカーゲームを延々繰り返しているようなものです。この場合も言わずと「撤退計画」を実行しましょう。でないと、金銭的な負担より、精神的な「コスト」の方が高くついてしまいます。
次回は、この連載の最終章「結果にコミット編」です。その記事を掲載している時に株価が再び2万円台を回復していることを切に願います。
不動産企画部 山口